IndexNo:178:新しいことをやればいいと、いうものではない。

生産者の方々と懇談会がある度に言われることがある。「何か、儲かる品目はないですか]「新しい品目で高値の取れる花はありませんか」何処の市場でも同じであると思うが、生産者の方々が言うことは、20年前と内容はほとんど変わらないのである。たしかに、生産者の現況は厳しいので理解はできるが、景気の良い時期でも、悪い時期でも「人に頼る」ということなのかもしれない。たしかに、市場は情報を流す役目をもっている。しかし、全員にひとつの情報を提供することは不可能なことであり、絶対にできないことである。私たちは、本当にその情報を欲しい生産者や提供することができる生産者を選ばなければいけないのである。

私は、この件に際しては「石の上に3年、土の上に5年」と言う。新しい品目を生産するすることより今、生産されている物を完璧に仕上げる技術の大事さと、安価な価格が一定期間続くことで、安易に生産する品目を変更してはいけないことを必ず伝えるのである。「金」がとれる生産者は、情報の収集と価格変動の「我慢」が不可欠である。私が知っている利益をあげる生産者は、この2つを必ず持ち合わせている。

情報に関しては、ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て「万有引力」を発見した。普通の人がリンゴが木から落ちるのを見て考えることは拾って食べることなのに。何故、ニュートンは「万有引力」を発見したのであろうか・・・・・・。おそらくニュートンはそれまでの研究活動の中で、万有引力に関する情報を膨大な情報を蓄積していた。が、それらには何か不足している部分があり、未完成だった。ある日、リンゴが落ちるという情報を得て、それが完成したと考えられる。つまり、ニュートンは自分の持つ情報にリンコが落ちるという情報を足して発見したのである。

どんな花々を生産するにしても不可欠なことは、作ろうとする花の生産に必要な技術や情報を集めてくることである。たとえば、市場の品目別の担当者との深い付き合いの中からも入手できるし、街のショップに出向いて、直接、売り手の情報も自己のものにできる。もし、ニュートンが、リンゴが木から落ちるという情報を入手できなかったならば、万有引力の発見はもっと時間がかかったであろう。

私達は、花々の生産から販売するまでの流通の中で、利益を生むことは、情報を加工する知的な生産活動であるということと、関連情報を収集するための行動であるということを理解しなければならない。