IndexNo:237:小さな(少量)注文が市場売上の原点である。

花き市場業界の非常事態である。ここまで菊類を中心に安価な相場が続くと、誰でも頭を抱えてしまう。暖かい気候が続き、どの品目も切れ間がない程、次々と出荷される。とくに大菊がその典型であるが、明るい兆しも見えてきている。それは、天気予報において今朝、霜注意報が出されたことだ。ようやく『冬』の始まりなのである。毎年、霜注意報が出されると一週間後には入荷が減少してくる傾向にある。11月の前半の売上減を後半である程度、取り戻さなくてはならないと思うのだが・・・・・。

最近のネット(Web)販売で変化が出てきた。いけ花、ブライダル関係とは別に、少量の注文が増加してきている。少量注文については、どの市場も積極的には動けないことが現状である。とにかく経費がかかる。たった10本の花を往復2時間掛けて取ってきたり、土、日の休みに動かなければいけない時が多く、会社も現場の社員も「ノー」と言いたくなるのが現実である。しかし、日頃から言っている「真のサービス」が、このことなのであるのも間違いのない事実である。

ここまで売上増が望めないことで、本当に必死ならば他市場が避けて通るようなことにも積極的に取り組む姿勢があって当然である。経営がある程度安定してくると、なかなか小さな注文には応じられないと言うふうになる。たとえ業績が苦しくても小さな注文では売上のマイナスをカバーできないし、手間ばかりかかるから何の疑問を抱かずにそれが当たり前という感覚になってしまう。これを『おごり』と言わずに何と言おう。規模が本当に小さな時には「たとえ少量の注文でも。」「どんな要望にも。」と言っていたはず。特に、創業当初は、どの会社も注文を頂くことに必死だったはずである。しかし、商売が軌道に乗るにしたがって、そういう社風も次第にうすれ、誰もが創業時の『志(こころざし)』を忘れてしまうのである。

少しでも商売になりそうなことがあるのなら、まずやってみる。極論すれば「どんなわがままも、どうぞ言ってください。すぐ、やります。」とお客様に言えるかどうかである。もちろん、かける労力と儲けが釣り合っていないこともあるかもしれない。そのバランスを気にすることは、重要なことではあると思う。何も、お客様の無理難題を無条件に聞き入れるべきだ、ということではない。しかし、採算がとれるかどうかだけを考えるあまり、「こんな注文に応えても儲からないから、断ろう」「お客様には喜ばれるが、社内的には何の評価もされないから、断ろう」というようになっているかもしれない。

そういう心になった時点で、その市場の伸びは止まってしまうと考えるべきで、そのことを職場に徹底しなければならない。『プランドの力も、大型市場としての信頼感もないからこそ、中小の市場ほど「お客様第一主義』でなければ、生き残れないはずなのである。