IndexNo:568:「無上意」の精神
今週の切花は、曇天、晴天、寒暖差の影響で入荷量が昨年比15%減少し、取扱単価、取扱高は上回る状況が続きました。一部洋花・球根は値を下げたものの、葬儀需要に支えられて菊類をはじめ草花・葉物は堅調に取引されています。鉢物は、この天候の影響を受けて4月は毎週のように厳しい状況が続いています。取扱単価は昨年並みで推移していますが、入荷量は大幅に落ち込んで、思うように販売できていないでいるのが現状のようです。当社だけかと思い、他市場に聞いてみても同じ状況であり、今年の異常な気象状況が生産・入荷量・販売に影響を及ぼしているのがわかりました。 さて、母の日カーネの状況でありますが、切花に関しては、2箇所の新産地を含めて昨年並みの入荷量で推移しそうです。また、草花・洋花は、これからの天候が入荷を左右しそうで、晴天が続けば例年並み、曇天が続けば減少となりそうです。当社の営業も出荷者と日々連絡を取り合いながら情報収集に専念しています。鉢物は、日照不足、寒気の影響が出ているようで、産地によっては、かなり遅れている産地があります。来週の販売時期には、入荷が減少傾向の中での商戦になりそうです。また、今年は、小売店からの予約相対が減少している中で、注文を受け付けた分は確実な納品をしていくようにと指示は出しているところです。買参・仲卸もこの異常な天候で小売事情の動向を心配をしている部分はありますが、市場としましては昨年並み若しくはそれ以上には販売していきたいと思っています。 当社は、今期の目標として「より、お客様目線」と云う目標を建てています。先日、日本道経会の講演において「無上意」の精神でと云うお話をお聞きしまして、「真のお客様目線」を感じました。それは、サービスの心構えは「無上意(むじょうい)」です。これは、仏典の言葉で「これ以上ない行為」と云う意味だそうです。お話では、苦楽をともにしてきた奥様を定年前に亡くし、四国八十八所の巡礼を終えた、ある一人の男性が最後に立ち寄った高知空港の日本料理店でビール1本と土佐名物カマスの姿寿司を注文されました。男性から「申し訳ありませんが、グラスは二つで」と注文を受けた若いウエートレスは、不思議に思いながらも指示に従い、まずビールとグラスを二つ出したそうです。すると男性は、亡き奥様の写真をテーブルの中央に置き、その前のグラスにもビールを注ぎ乾杯をしたそうです。ウエートレスは、瞬時に事情を察し、寿司を運ぶ時には、箸と箸置きを二組、小皿を二枚持っていきました。 後日、お店に届いた男性からの手紙にこうあったそうです。「四国への旅には、家内の写真と一緒に出かけ、食事の時には一緒にビールを飲みました。しかし、お箸と小皿を二人分出していただいたのはお宅が初めてです。驚きました。感動で身体が震えました。帰りの飛行機で涙が止まりませんでした。本当に有難うございました。」と・・・・・・・・・・ 私は、お客様目線と云う言葉を簡単に使ってしまっている事の愚かさを自分で恥じなければいけないと心から思いました。お客様は、自らが望んでサービスを受けたいと思っているのではない。私たちは商品を販売し、「有難うございました」で終わってはいけない。むしろ購入したあとのフォローが大事であることと、「真心」はお客様の立場・目線になって、物事を判断しなければいけないこと。決して「自分の物差しで人を計ってはいけない」こと。簡単には云えることではありますが、大きな「壁」であります。その「壁」をいかに乗り越えていけるかが『無上意』の精神だと思うのです。 |