IndexNo:713:『森をつくる』ことと同じ

今週の切花は、週半ばまで梅雨・台風の影響で降雨が続いたことで、小売事情も厳しい状況でありました。取扱数量は前年比で微減、取扱単価は高く取扱高も増加となりました。昨年の6・7月は近年の中でもいちばんの厳しい販売状況となり取扱高も激減しており、前年比として比較することは間違いなのですが、6月第2週としては好調に販売できている前々年と比較しても変わらずに取引できています。草花は高冷地産が入荷減の傾向が進み、夏秋物に入れ替わった菊類、球根類と強気配での取引が続いていくようです。また、円安の影響で輸入物が15%減となり取扱数量を下げる要因となっています。昨年は5/30日から2か月の入院で6.7月と取引全般において対応ができなかったので、今は生産段階の現況取得をして、販売計画を経てているところです。鉢物は、取扱数量・単価共に前年比微減となっています。天候の回復によって小売りも好調に推移していくので来週に期待しているところです。

宮崎中央花きの平成24年度(4月~3月)の取引でありますが、切花で取扱数量109%・取扱高105%、鉢物は取扱数量92%・取扱高で98%でありました。県内の市場も102~105%の成績で頑張っています。「競争しながら共存していく」と言葉では簡単に云えますが、その市場の特長(販売の仕方等)を生かしたこととなると、どうしても気になるところが本音です。しかし、市場流通に携わることとなると県内の生産者(荷主)・花商の方々の生活を支えていく責任と自社の繁栄という共通の目的があります。競争は競争として、共存するところは同じくしていかなければ県内の花き産業の発展は皆無です。

この市場共存については「森をつくる」ことと同じだと思うのです。これは人間と自然の力なしでは作れないことであり、地域社会の協力なしでは絶対にできません。俗に云う『中間ゾーン』のことであり、森という生態系の原理原則が市場経営の本質を目の前で教えてくれるひとつの例として大事なことだからです。「森をつくる」と云っても、地域によって植える木の種類は違ってくるはずです。暖かい所には暖かいところの、寒い所には寒いところのそれぞれの条件にかなった木が生えていますからね。さらに「森」にはただ「木」が整然と植わっているのではないし、数メートルの木、低木が組み合わされ、その下には雑草が生え、その下の「土」には栄養素となるバクテリア・・・」、これらのすべてが「森」を形成しているのです。もしも、見栄えの良い「木」だけ残す、低木や雑草を取ってしまうと他の樹木も枯れてしまいます。

県内の花き流通を作っていくことに関して、相互の利点を活かしながら競争していく。相互の責任を持ってすべての方々の生活を保障していく。それには、国同士のレベル級協議のように市場サイドの対面での協議もしていくのがベターです。そこに業界の発展が隠されているのであれば、早急に対応していくべきです。